薬学部卒業後の進路と年収・給料:薬剤師以外の道も!【徹底解説まとめ】

薬学部卒業後進路年収給料薬剤師以外
今回は薬学部を卒業した後の進路、就職事情についての総まとめ、包括的に解説をしていきます。

「薬学部卒業=薬剤師になる」と世間で思われているかもしれませんが、実は、卒業後に薬剤師以外の道に進む人はかなりの割合でいます。

具体的には「薬剤師」や「薬学部卒」であることを活かしつつ、下記のような職種に就くことができます。

・製薬企業や化粧品メーカーの研究職や営業職(MR)

・CRO(研究開発業務受託機関)

・公務員(薬剤師職、麻薬取締官)

・警察官(科学捜査研究所)

・自衛官(自衛官薬剤師)

同じ医療系の6年制学部である医学部や歯学部では、卒業後にほぼ100%が医師、歯科医師になるのとは対照的ですね。

本記事はこれら「薬学部・薬科大を卒業した人の就活・就職事情」について、また、「薬学部卒業生の年収・給料事情」についても触れつつ徹底解説まとめ記事として書いていきます。


【ブログランキング参加中】
にほんブログ村 (別タブで開きます)
にほんブログ村 にほんブログ村

人気ブログランキング(別タブで開きます)


薬学部・薬科大の卒業後の進路事情(薬剤師)


冒頭で書いたように、薬学部や薬科大の卒業後の進路は、薬剤師または薬剤師以外の二つの道があります。

とはいえ、割合的には薬剤師になる人の方が多いですが。

どれくらいかというと、薬学部を卒業した後の進路は約7割が病院、調剤薬局またはドラッグストアの薬剤師となっています(出典/薬事日報 平成30年「就職情報調査結果報告書」)。

もともと、将来薬剤師になりたい人が、6年制の薬学部や薬科大学に進学しているわけですから、当然といえば当然ですね

残りは後述しますが大学院への進学や、製薬企業、行政機関の公務員などです。

薬学部・薬科大卒なら就活・就職は楽。再受験や卒業延期、留年組、Fランク大学でもOK



6年制の薬学部や薬科大の特徴として、卒業した後、「薬剤師になりたい」と考えた場合には就職活動が超楽勝です。

就職内定率はほぼ100%となります。

これはどの大学も共通で、難関の有名大学薬学部だろうと、いわゆるFランクと呼ばれる薬科大、私立大学の薬学部でも同様。

普通の理系や文系の学部だと、たくさんの企業にエントリーして選考試験を受けたり、対策したりと大変ですよね。

6年制の薬学部だとそんなつらい「就職活動」がないわけです。

多い人でも5~6つくらい募集に応募すれば内定がもらえます。

一部の大病院の薬剤部なんかは競争倍率が高く、難しいですが、地方の調剤薬局や大手薬局チェーンでは薬剤師不足ですから。

たとえ卒業試験に落ちた卒業延期組、留年組でもちゃんと内定をもらえるし、一度社会に出て再受験で薬剤師を目指した30代、40代の人でも薬剤師国家試験に合格さえすれば就職できるのです。

Fランク薬学部で良い理由:薬剤師飽和する飽和する詐欺は気にすんな

こういった状況はバブル崩壊後の就職氷河期でも、2008年のリーマンショック直後でも変わりませんでした。

ただし将来、未来永劫このような状況が続くかどうかはわかりません。

一部の人は「いつか薬剤師は供給過剰となり、飽和する」と言っています。

薬剤師国家試験に合格しさえすれば、100%就職できるという状況は、ある意味「ぬるま湯」でもあります。

今後は、薬学部の学生も、仮に薬剤師としての就職先がなくなっても対応できるように自分磨きをしていかないといけなくなるかもしれません。

薬学部の就職難時代が来たら...薬学生の弱みとは

薬剤師としての進路はどれがいい?病院・薬局・ドラッグストア


薬学部・薬科大を卒業後に「薬剤師」になるなら、病院・薬局・ドラッグストアのどれがいいのでしょうか。

人によってどれがいいか、見解のわかれるところですが年収面と薬剤師としてのキャリア・専門性の面で考えて選択するのが一般的です。

まず、後述しますが、生涯年収の面でいうと、「ドラッグストア>調剤薬局>病院」となります。
一方で、薬剤師として専門性を高めたいというのであれば「病院>調剤薬局>ドラッグストア」です。
ただし、将来的に自分で薬局経営をやることを考えたキャリアでは「調剤薬局>病院>ドラッグストア」がおすすめ。

薬学部・薬科大卒業後にドラッグストアの薬剤師になる進路はどうよ

ドラッグストアの場合、母体が大きなチェーン薬局の企業だったりするので、ボーナスや福利厚生、昇給面で待遇がよくなるのです。

だから生涯年収は高め。

ただし、ドラッグストアの店舗では、医療用医薬品の取り扱い量は少なく、一般用医薬品や雑品を扱う店舗で雑用的な業務も行うことになります。

そのため、臨床的な知見に触れる機会が少なく、「薬剤師」としてのキャリアという点では、いまいちかもしれません。

薬学部・薬科大卒業後に調剤薬局の薬剤師になる進路はどうよ


一方で、調剤薬局だと、昇給等はすくないものの、初任給では高額になります。
トータルの生涯年収はドラッグストアと比べると、やや低くなりますが、医療用医薬品の取り扱いが主要業務です。

臨床経験もある程度積むことができ、薬剤師としての専門性も深めることができます。

将来的に、薬局を開業するなら、調剤薬局経営の感覚や人脈を広げておくことができるのも利点ですね。


薬学部・薬科大卒業後に病院薬剤師になる進路はどうよ


病院薬剤師になると、生涯年収・給料の面では、あまり魅力がありません。
6年間も勉強したのに額面20万円程度という病院がそこら中にあります。

とはいえ、最大の魅力は、薬剤師としての専門性を高め続けることができるということです。

複数の診療科を抱える大病院で勤務すれば、それだけたくさんの症例に触れることができますし、外来患者だけではなく入院患者のケアも経験できるのです。

医師や看護師とチームとして働いたり、学会発表をしたりと、非常に幅広い働き方ができるのが病院薬剤師といえますね。

薬学部・薬科大の卒業後の進路事情(薬剤師以外の道:製薬会社・化粧品メーカー、CRO、公務員、警察、自衛官も)


一方で、冒頭でも書いたように、薬学部・薬科大の卒業生がすべて薬剤師になるわけではありません。

たとえ6年生の薬学部・薬科大を卒業して、薬剤師国家試験に合格したとしても、「薬剤師の業務」に携わらない人が大勢います。

いわゆるペーパー薬剤師です(私もそうですねwww)。

具体的な「薬剤師以外」の進路としては、こんな感じ↓

・製薬企業や化粧品メーカーの研究職や営業職(MR)

・CRO(研究開発業務受託機関)

・公務員(薬剤師職、麻薬取締官)

・警察官(科学捜査研究所)

・自衛官(自衛官薬剤師)

薬学部・薬科大卒業後に「薬剤師以外の道」はごく普通。多いのは製薬企業の研究職やMR、CRO


薬学部・薬科大の学生にとって「薬剤師以外の道」というのはごくごく普通の選択肢に入っています。

たとえ薬剤師になりたいと思って、薬学部・薬科大に入ってきたひとも在学中に鞍替えすることもよく起こります。
薬学部=薬剤師と思っていた人にとってはちょっと意外かもしれませんが。

反対に、これら「薬剤師以外の道」で就職活動した結果、内定がもらえずに「仕方なく」薬剤師になる人だっています。

上述の「薬剤師以外の道」で特に多いのが製薬企業の研究職や営業職(MR)、あるいはCROといった職種です。

ぶっちゃけ大手~中堅の製薬企業ではたらければ、薬剤師と比べてかなり高い報酬をもらえることができます。
生涯年収は1.5~2倍もありえますよ。

それに、それなりに大きい企業だと福利厚生や勤務体系も整っていますから、ホワイトな働き方ができるのもメリットですね。
そういった事情もあって、特に男子学生で製薬企業や大手のCROを志望する人はたくさんいます。

製薬会社の仕事は基本楽ちん。でも「きつい」職種はある
製薬企業研究職の激務?いやホワイトです。ストレスはそれなり
CROは激務!CRA辞めたい?仕事きついけど良い面もある

特に薬学部卒、薬剤師免許所有で、製薬企業のMRだとかなり採用時に有利になります。
もちろん、製薬企業としては文系職や薬学部以外の理系学生も採用します。

しかし、採用予定者のうち何割かは、初めからある程度の医薬品の知識を有した薬学部卒の学生がほしいという方針の製薬企業が多いというのが背景です。


薬学部だとMRで有利!就活だけじゃない!楽勝すぎワロタ

研究職志望だと薬学部卒は不利、ジェネリックメーカーやCROへ



薬学部卒で、薬剤師以外の道で最も人気があるのは、製薬企業や公的機関の研究職・研究員としてのポストです。

ただし、一つ補足として書いておくと、製薬企業や公的機関の研究職の場合、実は6年制薬学部卒だと不利になります。

理由は、6年制薬学部のカリキュラムでは、学生は臨床実習や薬剤師国家試験対策に時間をとられているからです。
研究活動に費やせる時間が、ライバルである工学部や理学部修士卒の学生より短く、研究職候補として魅力が薄いのです。

製薬企業であれ、公的機関であれ、研究職は狭き門なのですが、薬学部卒業後にこの進路に進むのは年々難しくなってきています。

薬学部卒で研究職に就くのがどんどん難しくなってきた歴史を整理した

一方で、ジェネリック製薬メーカーやCROの研究職では、比較的採用されやすいです。
優秀な学生や有名大学の学生は、大手の製薬企業の研究職や大学・公的機関の研究職に採用されるからです。

大手製薬企業と比べれば、待遇や年収面では劣りますが、研究職に強い思い入れのある学生は、これらの進路を選ぶことも多々あります。

そのあたり、詳細は下記の関連記事で。

製薬企業研究職は難易度・倍率高い!ジェネリックメーカーは穴場だ
薬学部の就職先でCROって負け組なの?考えてみた

研究職なら国立大学薬学部?4年制+修士のほうが6年制よりもいい


もしも、薬学部・薬科大卒で、研究職に就くのであれば圧倒的に国立大学薬学部、公立大学薬学部のほうが、私立大学よりも有利です。

近年の薬学部教育では、とくに私立大学で、卒業生の薬剤師国家試験合格率を重視しています。

そのため、多くの私立大学薬学部、薬科大は、薬剤師国家試験対策に重点をおいたカリキュラムを組んでおり、製薬企業の人事採用担当者もそのことを承知しているのです。

また、どうしても研究職志望だという学生は、薬学部卒業後に、大学院の博士課程に4年間進学するケースもあります。
これにより、上述の工学部や理学部修士卒の学生にも対抗できる研究者としての教育期間を確保することが可能になります。

国立の薬学部って難しいよな。なんかメリットあるの?
薬学部って大学院行くメリットあるの?デメリットは?

ちなみに、6年制ではなく、4年制の薬学部であればカリキュラム上は工学部や理学部とほとんど変わりません。
薬剤師免許はありませんが、製薬企業の研究職なら4年間の薬学部+2年間の修士課程のほうがメリットがでてきますね。

薬学部4年制課程にメリットはある!薬剤師免許なくてもディスるな!


薬学部卒なら公務員になるのは簡単!


ほかにも薬学部を卒業したのち公務員になる人もいます。

数としてはそれほど多くないのですが、一般の公務員ではなく、公務員の「薬剤師職」という薬剤師国家試験に合格した人のみしか採用されない特別枠があるのです。

具体的には、麻薬取締官や警察の科学捜査研究所勤務、あるいは自衛官の薬剤師などです。

普通、公務員試験といえば難関なのですが、これらの特殊な枠では、競争倍率が比較的低いため採用されやすくなります。
とくに麻薬取締官なんかは、募集は不定期ですが、倍率1倍なんてこともあるのです(私の先輩が採用されていました)。

薬学部だと公務員になるのが簡単。薬学部の就職先は薬剤師だけじゃない!

薬学部卒業したら年収・給料どれくらい?


薬学部・薬科大を卒業したら薬剤師または薬剤師以外の道に進むわけですが、気になるのはやはり年収・給料面ですよね。

・薬学部卒業したら、ぶっちゃけどれくらい貰えるの?

・薬学部の高い学費に見合うくらいの収入がほしい

・薬剤師の年収は同じ6年制教育の医師と違うの?

・薬学部卒業で一番稼げる職業は?

こういった疑問についても本記事と関連記事で解説してます。


卒業後の収入で薬学部の学費はペイできるのか


一番気になるのが、6年間も薬学部・薬科大で勉強して、学費の元は取れる?という点じゃないでしょうか。

特に私立大学の薬学部では医学部ほどではないものの、かなり学費は高額です。
6年間で1200~2000万円は覚悟しましょう。

んで、結論ですが、ぶっちゃけこの高額な私立大学薬学部の学費を考えると、薬学部卒業者の年収は割にあいません。

特に病院薬剤師となる場合、初年度の平均年収は300~350万円ほど。
その後何年も勤務して、昇給しても500~600万円がいいところです。

例えば「私立大学薬学部に、多額の奨学金を借りて進学し、卒業後病院薬剤師になる」というパターンではかなり質素な生活を強いられてしまいます。

薬学部・薬剤師のコスパ:薬剤師になりたい?薬学部の就職先と年収を整理した。

もし、薬学部での多額の学費や奨学金がペイするか?という視点で考えるなら、卒業後の進路をよく考えないといけません。

薬剤師なら、調剤薬局や将来、薬局を開業することを考慮にいれましょう。
あるいは、必死で努力して大手製薬企業に就職するかですね。

薬剤師・薬学部で学費が元取れるか気になってる人が考えるべきポイント

とはいえ、学費のことを考慮に入れなければ、薬剤師の年収は世間一般では高い部類に入ります。

病院薬剤師でも普通に暮らしていくことはできますし、そもそも国公立大学の薬学部に進学して学費を安くおさえることも可能です。

薬剤師の給料は高いんだが、なぜか納得できない人のために解説

薬剤師の年収は医師よりもはるかに低いという現実



納得できない点というか、残念な点があるとすれば、医師と薬剤師の年収の格差でしょうか。

一応、薬剤師になるにも、医師になるにも同じ6年間の高等教育を受けるわけです。

それにも関わらず、(以下の記事に書いていますが)医師の生涯年収は、勤務薬剤師の2倍です。

医者・医師の生涯年収平均を薬剤師(薬局・病院・ドラッグストア)と比較したら...

ただし勤務体系や追っている責任の重さが違うし、受験勉強のし烈さも薬学部と医学部では比になりません。
妥当といえば妥当かもしれませんが。

薬学部卒業→製薬企業MR(中堅以上)  or 大手製薬 or 薬局開業なら高収入・・・だけど


さて、じゃあ薬学部を卒業してたくさんお金を稼ぐにはどうしたらいい?ということです。

例えば年収1000万円とかだと、いわゆる「高収入」というイメージですが・・・。

ぶっちゃけ、薬学部卒で年収1000万円に到達するには、東大薬学部出身でも難しいです。

薬学部卒で年収1000万は東大でも難しい。方法は?
どうしても年収1000万円に到達したければ、可能性があるとすれば、以下の3つの進路に進むことになります。

・中堅以上の製薬企業MR

・大手製薬企業の専門職(研究職、開発職、MR職)

・薬局経営者として開業・独立

MRの給料が高い「本当の」理由。まともな理由があるならMR削減時代なんて来てない

薬剤師の年収・給料では将来不安なのか


薬学部卒業後の進路で、薬剤師を選ぶ場合は慎重にならないといけないのかもしれません。

特に、将来、結婚後に家計を支える男性の場合はどうしても年収面が気になるところ。

昔は薬剤師=女性の仕事という時代もありましが、最近では薬学部の男子学生や男性の薬剤師も増えてきましたからね。

世の中の薬剤師男性の中には、収入面や安定性の面から将来に不安を感じている人も多いです。

薬剤師男性は将来に不安を感じている理由と対応策

とはいえ、普通に暮らしていれば、お金に困ることはないはず。
ただし、上述のように薬剤師の年収は医師や、大手製薬企業と比較すると低くなります。

どうしても気になってしまうのでしょう。

薬剤師が給料安い低い少ないと感じてしまう理由。世間との認識がずれるのはなぜ?


あわせて読みたい





注目の記事


よろしければtwitterフォローお願います