薬学部・薬剤師のコスパ:薬剤師になりたい?薬学部の就職先と年収を整理した。

世間では高給、安定していると思われる薬剤師は人気の職業ですよね。
現役高校生で、大学の薬学部を目指し、将来薬剤師になりたいという人も多いことでしょう。
本記事では、薬学部に通って、薬剤師になるまでの費用と実際の年収を比べて「薬学部のコスパっていいの?」ということを、下記を踏まえて整理しています。
  • 薬学部を卒業して薬剤師になるための費用
  • 薬剤師および薬剤師以外の薬学部卒業後の就職先と年収
  • 薬学部が人気の理由をコスパとその他のメリットについても考察







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薬剤師になるにはまずは薬学部に行く

薬剤師になるには薬剤師国家試験に合格し、薬剤師免許を取得する必要があります。
実は私も大学の薬学部を卒業したペーパー薬剤師です。

でもこの国家試験は、普通の人は受験することができません。
大学の薬学部で勉強し、無事に卒業(卒業見込み)となって、はじめて薬剤師国家試験の受験資格を得ることができます。

数年間大学に通うことになるので、それにかかる労力や費用(学費)がかかります。
当然これがコストの大部分を占めてきます。
薬学部をはじめ、医療系・理系の大学は学費が高そうですね。
学費(コスト)ばかりが高くて、その後稼げない(リターンがない)となればコスパが悪いということになるし、逆であればコスパが高くなります。

そのため、本記事のメイントピックである、薬学部のコスパはいいのか?という視点をよく整理して考える必要がありますよね。

薬学部は6年制

2019年現在、薬学部は6年間大学に通わなければ、薬剤師国家試験の受験資格を得ることができません。
以前は、薬学部は4年間の履修で薬剤師免許を取得することができましたが、2006年に改正されたのです(6年制薬学部)。

この制度の変更は、「薬学部のコスパ」を考えるにあたり、非常に大きな転換となりました。

経費は1.5倍、2年分の年収消失も「薬学部のコスパ」に影響

なぜなら単純に考えただけでも、4年間が6年間になった分、学費は1.5倍になります。
実家を離れて一人暮らしで通う学生は、その間の生活費も1.5倍になるのです。
薬剤師になるための「コスト」の部分が2006年を境として、一気に飛躍したのです。
「薬学部のコスパ」に大きな影響を与えました。

さらに、就職する時期が2年分(6年-4年=2年)後になるため、生涯の就労期間が2年間少なくなり、2年分の年収が、そっくりそのまま生涯年収からダウンしてしまいます。

6年制といえば医学部、歯学部、獣医学部といった医療系の最高峰に位置する学部と同じです。





かつての薬学部はもっとコスパが良かった

薬剤師の年収は、医師や歯科医師より低いものの、4年間で非常に安定して(稼げる)職業だったことから、「薬学部はコスパが良い」という意見も多くありました。

特に薬学部は女子に人気が高く、成績はいいけれど、「早く社会に出て、結婚・出産したいな」と考える女性が4年制の薬学部に集中していたのも2006年以前のことです。
当時の女性給与からすれば、薬剤師は十分高給でしたからね。
かつてはコストに十分見合ったのです。

そのため、年配の方や、あまり詳しくない人は、この「薬学部はコスパが良い」というイメージを持ち続けている人もいると思います。

薬学部の学費と必要経費(コスト)

薬剤師の年収は、同じ6年制の大学を卒業した医師や歯科医師、獣医師と比較すると低いです。
そのため、薬学部のコスパを考える時には、「学費」および「その他の必要経費」を考えないといけません。

私立大学の場合(2019年時点)

  • 学費 年間約200万円前後
  • 入学金 約20~30万円(初年度のみ)
  • その他経費 主に教材費や国家試験対策費用として年間10~40万円ほど
6年間で学費だけで200万円 x 6年 =約1200万円前後になります。
一般人の感覚ではかなり高額です。
薬学部含めた生命科学系の学部の学費は、授業に加え、実験系の実習が必須科目となるためです。
文学系の学部(私立大学でも4年で400 ~600万円で済む)よりも、必ず高額になります。

加えて、講義で必要となる教科書や、薬剤師の国家試験対策ゼミの費用も必要となるため教材費が毎年5~10万円ほどかかります(学校によってはもっとかかります)

さらに入学金として20~30万円ほどかかりますので、初年度だけ250~300万円必要、6年間で1200~1400万円です。
コスト高し。




国公立大学の場合(2019年時点)

  • 学費 年間約54万円
  • 入学金 約30万円(初年度のみ)
  • その他経費 主に教材費として年間10万円ほど
6年間で学費だけで54万円 x 6年 = 324万円になります。
決して安い買い物ではないですね。
裕福でない家庭で、且つ、実家を離れて暮らす場合は奨学金やアルバイトで補うことになります。
とはいえ国公立大学の場合、文系含めた全学部同じ学費、入学金になりますので、薬学部はじめ理系の学部全般にいえることですが、とてもお得です。
また、講義で必要となる教科書年間10万円ほどかかりますが、私立と異なり、学校側が国家試験対策を強制しません。
そのため、多くの国公立大学の薬学部では国家試験対策費用が不要となります(自分で対策、勉強することになります)。
トータル費用としては、私立大学に比べるとはるかに安価ですので、国公立大学の薬学部出身者にとっては、薬学部のコスパはそこまで悪いものではありません。


薬学部の進路、職業と年収

前項のように薬剤師になるため、薬学部で6年間勉強するのにかかるトータル費用は、私立大学で1200~1400万円超、国立大学では400万円ほどとなります。
一般家庭や、あまり裕福でない家庭にとっては非常大きな投資です。
この投資(コスト)は回収できるのか?
薬学部を卒業した場合の就職先での年収はどらくらいか?を見てみると、薬学部のコスパが見えてきます。





調剤薬局薬剤師

薬学部卒業後の進路、就職先として最も身近な職業です。
町の調剤薬局薬剤師です。
地域によりますが、都心部のチェーン店で、初任給で月25万円ほど、年収はボーナス込みで350~400万円程度です。
薬剤師不足の田舎にいけば高給になります。初任給で月40万円ほど、ボーナス込み年収が500万を超える案件もあります

大学を卒業したててこれくらいもらえるのであれば、かなり魅力的に思うかもしれません。
しかしここで注意。
仮に、新卒社員に1年目で年収400万円くれる企業であれば、その後順調に昇給していずれ年収1000万円も夢ではありません。
ところが、薬剤師の場合、その後上昇しません。
せいぜい年収600万円程度でしょう。

病院薬剤師

おおきな病院では、院内に薬剤部があり、薬剤師が常勤しています。
規模が大きい病院であれば、雇用も安定しています。
ただし、病院薬剤師の給与は調剤薬局よりも厳しいです。
初任給は初任給で月20万円ほど、年収はボーナス込みで300~350万円程度のところが多いです。
また、病院によっては、薬剤部の部長といった重要ポジションは医師が担う場合があります。そのため、昇格による昇給も見込めず、20年以上勤務しても年収500万円ほどしか盛られない場合もざらです。
多くの病院薬剤師は、数年勤務して経験を積んだのち、より給与の高い地方の調剤薬局に転職したりしています。
例外的に、田舎や交通の便が悪い精神病院では給与が高い傾向があります。
世間のイメージ的に人が集まらないためです。
私の友人が新卒で大きめの精神病院に就職しましたが、初任給が50万円だと言っていました。

製薬企業

もし、薬剤師になりたいのではなく、薬の勉強を専門的にして、それを活かしたいと思うのであれば、薬学部卒業後に、薬剤師以外の職業に就くことも可能です。

薬学部を卒業すると、製薬企業の各職種に応募することができます。
主な職種は研究員、臨床開発担当、営業職(MR, MSL)です。
基本的にはどの職種も同じ会社であれば同程度の給与となりますが、営業職では外勤や出張による手当てがつくため、多少給与が高い傾向にあります。
企業も新薬系、ジェネリック医薬品系、一般用医薬品系の3つが主にありますが、最も給与の高い新薬系とくに外資であれば、新卒1年目で年収400~500万円、10年勤務で1000万円超も十分可能です。
薬学系の進路で最も高給となります。




薬学部のコスパはいいのか?

薬学部6年間にかかるトータル費用は私立大学で1200~1400万円、国公立大学で400万円です。
私立の場合は非常に高額になります。
それに対して、就職後の年収は、薬剤師(調剤薬局、病院薬剤師)だと初年度に300~400万円程度、その後ピークで600万円に行けばいいほうです。

単純に費やした学費分を回収できるか?という点について「可能」ですが、薬学部はコスパが良いのかという点では、他学部と比較すると難しいです。
というのも、
生涯を通じた平均年収をざっくりと考えてみると、大卒で約600万ほど、薬剤師では約550万ほどです。
薬剤師の場合、6年制ですので、生涯賃金では、2年分の賃金(約1100万円)も大卒より少なくなります。
加えて普通の大学-->企業就職なら、私立大学でも文系学部なら4年間で400万~600万程度の学費ですみます。

そのため、私立大学薬学部(6年制)-->薬剤師の進路では、とてもコスパが悪いということになります。
現在薬学部生(または志願者)で、「薬学部のコスパ」を気にしているのであれば、
国立大学薬学部-->製薬企業(新薬系、大手、できれば外資系)を目指すのが最もコスパがいいということになります。
この進路であれば、投資した資金の回収という点ではコスパが最高です。


薬学部はコスパ悪いのにいまだに人気の理由


高齢化に伴い、医療従事者の需要は高まっています。
薬剤師についても、ここ10年程で多くの薬学部が全国の大学(主に私立大学)に新設されました。
それなりに志願者が多く、他学部と比較しても人気はあるようです。

「薬学部はコスパが悪いのになぜ、人気があるの?」という質問をよく目にしますが、薬剤師という職種を純粋にとらえた場合、下記のようなほかの職種になりメリットがあります。
他学部卒よりは薬剤師という国家資格があるので就職先がある(ほとんどの薬学部では卒業後の就職率が100%)
勤務先が倒産しても、すぐに別の薬局・病院が募集をだしているので雇用の安定性は最高
結婚、出産、配偶者の転勤など、時間調整、職探しの柔軟性がが高い。
医療系職種の中でも、最も体力が不要で、働きやすい。楽。

これらのメリットを考慮して考えると、いまだにコスパが良い、投資に見合うと判断する人が一定数いるのも理解できます。

では。

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