看護師が大学院に働きながら行ったら地獄を見るぞ


大卒看護師向けの大学院が増えていることを、こちらの記事で先日書きました。

看護師に限らず医療従事者が勉強してくれると、患者としてもメリットがあります。
すばらしいことですよね。

さて、看護師が大学院に行くスタイルとして、以下の3つがあります。

  1. 大学を卒業後、大学院に「そのまま」進学する
  2. 大学を卒業後、一度社会人(看護師)になった後、仕事を辞めて大学院に進学する
  3. 大学を卒業後、一度社会人(看護師)になった後、「仕事を辞めず」に大学院に進学する
スタイル3は、「看護師として働きながら、大学院に行く」というスタイルです。

現在多くの大学院で「社会人課程」というのを設けています。

これは、社会人が、現在の仕事、ポジションを維持しながら、大学院で学べる機会を与えようという大学のシステムです。

看護師に限らず、他の学部でも設置されています。

経営学修士(MBA)なんかはこのスタイルが盛んですよね。

一見すると、雇用も確保されているし、お給料ももらえる。

一番いいスタイルのように思えます。

このについて「看護師として働きながら、大学院に行く」ことについて、本記事では書いていきます。

ですが、このスタイルは、かなり難しい、いばらの道です。
地獄をみる可能性があります。





看護師向け大学院の概要


看護師の場合、大学院は修士課程2年間、その後さらに勉強したければ博士課程3年間学ぶことができます。

大学院では、講義に出席しレポート、試験に合格して所定の単位を納める必要があります。

大学ほど多くの授業やテストはありませんが、きちんと単位をとれないと留年することになります。

さらに、講義に加えて大学院では、「研究」を行うことになります。

看護学に関わる研究として、研究室によりますが、臨床症例を集めたり、疫学的な調査、解析を行うようなテーマが多いようです。

これをまとめて、大学に論文(修士論文、博士論文)を提出し、審査に通れば修士課程では修士(看護学)、博士課程の場合は博士(看護学)を授与されます。

ただし、これも大学院の所定の期間(修士2年、博士3年)内で論文を通らなえれば留年することになります。

看護師が働きながら大学院に通うと大学側の配慮がある


多くの大学院では、社会人が現在の身分を保ったまま在学することを許可しています。
これば「社会人修士課程」「社会人博士課程」というものです。

大学院の社会人課程の場合、単位取得にあたり、通常課程と比較すると大学側がある程度位の「配慮」してくれます。

具体的には、
・講義を夜間や土日に集中して実施

・Skypeなどのオンライン講義を実施

・一部の単位についてテストをレポートに置き換え可能

ただし、基本的には修了に必要な単位数や、論文のレベルは通常の「働いていない学生」と同じです。

そうでないと、普通の学生と比べて不公平ですから。

看護師が大学院に働きながら行ったら地獄を見るぞ


看護師としての身分を保ちながら、「働きながら大学院」に通うことは多くのメリットがあるように見えます。

看護師としての収入が途絶えることがなければ、大学院での生活費も学費も心配いりません。

でもそれって可能なのでしょうか。

私はサラリーマンとして勤務しながら、薬学系の大学院(博士課程)に通いましたが、職場と家族の理解、サポートはかなり必要でした。

幸い職場がホワイト、マターリな雰囲気なので何とかなったかな、という感じです。

看護師の場合、働きながら大学院に通うのはかなり慎重になるべきだと思います。
判断を誤れば、地獄をみることになります。





看護師が休みの日に大学院の講義に通えるか

先ほど、大学院では社会人でも「講義」があることを述べました。

基本的に、大学側がしている「集中講義」を行う日に休みを合わせて、受講することになります。

これが結構大変です。

看護師が働きながら、休みの日に大学院で講義を受けるとなると、「指定した日に休みをとれるか?」「休みの日に講義を受ける体力があるか?」といった点をよく考えないといけません。


働きながら大学院に通う看護師は所定の期間で論文審査が通らない?

所定の在学期間は修士課程の場合2年、博士課程の場合3年です。

普通の働いていない通常課程の学生は、この所定の期間で単位取得、論文審査に通過することができます。

これは、彼ら、彼女らが「十分に研究に時間が取れる」ことだけが要因ではありません。

もう一つ、大学として「学生を所定の期間内で卒業できるように指導する」責任があるからです。

例えば、修士課程の夏ごろに、論文の進捗具合が悪い学生がいると集中的にケアしますし、最終的に少々論文の出来が悪くても、審査に通してもらえる、ということがあります。

大人の事情ですね。

一方で、社会人課程の場合、この「大人の事情」が使えません。

「看護師として働きながら大学院」で学んでいるという事実は、たとえ所定の期間で修了できなくても大学側だけの責任ではない、といえるからです。

大学にもよりますが、多くの大学院では所定期間の2倍ほどの期間まで留年、在学が可能です。

修士課程なら最長4年、博士課程なら最長6年です。

大学院側や、所属する研究室の考え方にもよりますが、社会人課程の学生はこの「最長期間」をデフォルトで(勝手に)決めつけて考えている場合があります。

例え、講義による単位を取得してても、論文にOKを出さないのです。

毎日大学院に来ている通常課程の学生と、看護師として働きながらたまにしか大学院に通学しない社会人課程の学生が、同じ期間で修了したらおかしいだろ、ということを言う人もいます。





看護師の同僚の理解が得られるか

働きながら大学院に通う際に、最も気を配らなければならないのは看護師の同僚たちです。

大学院の講義や研究に都合がいいように、休日や夜勤のシフトを設定してもらう必要があります。
当然、しわ寄せは同僚の看護師に行きますよね。

看護師同士の仲が良く、雰囲気のいい職場であればいいですが、必ずしもそうではありません。

はじめは快くサポートしてくれるかも同僚もいるかもしれませんが、大学院は最低でも2年間、これって結構長いです。

さらに、社会人課程の場合、所定の期間で修了できるとは限りませんが、周囲の看護師は大学院の「大人の事情」など理解できません。

留年したとなれば、あたなの立ち場はどんどん悪くなります。
地獄が待っています。

看護師としての本業への影響は許されない。


看護師として働きながら…ということは、大学院に行っていない日は臨床の現場で勤務しているはずです。

この本業への影響がないようにすることはできるでしょうか。

普通のサラリーマンが大学院に働きながら通うのと異なり、看護師は「命の現場」で働いでいます。

勤務中に研究のことが気になって、とか、講義とレポートで寝不足で…という状態で、患者と接することは避けるべきです。

集中力を欠いて、取り返しのつかないミスをしてしまうかもしれません。

そんなことになれば、大学院どころではありません。

看護師としてやっていけなくなります。






看護師は「働きながら」大学院に執着しなくてもいい


看護師が大学院で専門性を深めることには、個人的には大歓迎です。

ただし、多くの職種のなかでも「看護師」に限ると、働きながら大学院に通うのはおすすめしません。

大学院の社会人課程では看護師としての「身分を保ちながら」就学できることが最大のメリットです。

でも、看護師は、普通のサラリーマンと異なり、いったん仕事を辞めても再就職しやすい、という利点がありますよね。

無理に「身分を保ちながら」就学するというメリットに固執する必要がないのです。

看護師の場合は、大学院での講義の調整や、論文審査の難易度、職場での問題というデメリットを抱えながら、社会人課程に進む必要はありません。

ある程度の貯金をして、いったん看護師を辞め、普通の学生として進学するほうがはるかに楽だと思います。

なによりも、本業の看護師業務に影響があると大変です。

看護師は「働きながら」大学院に執着しなくてもいいんです。

では。


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