獣医学部卒、獣医師の年収:進路別に収入を整理した

獣医学部卒、獣医師の年収進路別に収入を整理した

獣医学部を卒業すると、みんな「街中の獣医師さんになってペットや小動物の診療をする」。

こういったイメージを持っている人も多いかと思います。

ところが、実際はそれだけではありません。

獣医学部を卒業した後の進路はペット診療の獣医師さん(=小動物臨床獣医師)以外にも様々なものがあり、実は進路によって年収、お金の面でも大きく違いがあるのです。

はじめはペットの診療がしたくて獣医学部に入学したものの、勉強しているうちに別の進路に興味をもつことも非常におおいですね。

また、お給料・年収の面でより魅力的な職業に就く人もいます。

そこで今回は、「獣医学部卒,獣医師の年収」に着目しつつ、進路別にその収入を整理していきたいと思います。

「獣医師の年収はどれくらい?」

「獣医学部卒業後の就職、進路をどうしたらいいか迷っている?」

「獣医学部を卒業したあとの収入って進路、職種によってどれくらい違うの?」

こういった疑問をもった人たちの、獣医学部卒業後の進路選択の参考になれば幸いです。



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獣医学部卒業後の進路で年収が決まる:獣医師だけじゃない


冒頭でも書いたように、獣医学部・獣医師のイメージとしてありがちな「ペットを診療する獣医師(小動物臨床獣医師)」が獣医学部卒業後の進路のすべてではありません。

ざっと挙げると、動物園、水族館、自治体の共済組合(農業共済等)、製薬企業、食品会社、検疫所など様々です。

雇用形態も、ごくごく普通の一般企業もあれば、JRAなどの特殊な機関であったり、公務員獣医師もいます。

確かに絶対数としては、動物病院の臨床獣医師が多いですが、畜産業や、行政機関(農林水産省関連、公衆衛生関連)での獣医師のニーズはかなり高いのですよね。

んで、当然ですが、それぞれの職種は別の業務を担当しますし、別個の勤務形態となります。

そのため、獣医学部を卒業した獣医師であっても、年収・収入面での幅は広く、かなり違いがあるというのが現実です。

まず、獣医師すべての年収をざっくりと挙げておくと、平成29年の調査(平成29年賃金構造基本統計踏査,厚生労働省)では平均489.1万円となっております。

それでは次の項より、獣医師の職種ごとの年収事情について解説していきます。

獣医師(臨床獣医師)の年収はぶっちゃけ安い


獣医学部志望の高校生に志望動機を聞くと、ペットの診療がしたい、動物が好きといった人が非常に多いです(ほどんどといってもいいでしょう)。

この志望動機をそのまま卒業後の進路に当てはめると、小動物の臨床獣医師になる、ということですね。

街中にある動物病院の獣医師さんです。

この小動物臨床獣医師の年収は、開業獣医師で600万円〜1500万円ほど、やとわれの勤務獣医師で300万円〜500万円ほどと言われています。

もちろん地域によっても異なりますし、病院の規模や、経営状況にもよりますが、だいたいこんなものですね。

はっきりいって、収入面で見れば、そんなに美味しい仕事ではありません。

最近では、競合の動物病院が集中している地域もあるし、動物病院の経営は機材や薬品、スタッフの人件費などかなりの資金も必要になります。

勤務獣医師の中には、安い給料で、ブラックな労働環境にさらされている人も。

いくら動物が好きとはいえ、ぶっちゃけ、小動物臨床獣医師は、年収面、待遇面ではかなり厳しい業界ですし、これを知らずに動物病院の獣医師さんになると後悔することも。

まー、これは考えてみれば当然で、ほとんどの動物病院は従業員10人未満の、零細中小企業のようなものですから、法人としてはかなり脆弱です。

人間の医療のように公的な保険が適用されて税金が投入されているわけでもないので、仕方がないといえば仕方がない側面もあります。

公務員獣医師の年収


獣医師としての就職先として、公務員として採用されるという選択肢があります。

具体的な職種としては検疫官であったり、地方の畜産業者を回って公衆衛生に関わる仕事をしたり、あるいは、公営の動物園や水族館に勤務する場合も公務員となります。

国家公務員の場合は、「技官」の採用枠として、農林水産省のもとで働くことになり、いわゆるキャリア採用扱いですね。

獣医学部は6年制のため、修士卒の国家公務員と同じ給与体型、昇給システムになります。

30歳で年収500〜600万円、40台で1000万円といった具合になります。

上述の小動物臨床獣医師とくらべると、かなり報酬面で恵まれているのではないかと思います。

ただ、担当する業務や赴任する地域によってはかなりハードな仕事になることもあるようですね。


民間企業で働く獣医師の年収


獣医学部を卒業した後、臨床を離れて、民間企業に就職するケースもあります。

民間企業とはいっても、獣医学と関連のある、食肉加工業者や、食品会社、あるいは製薬企業などが中心になります。

獣医師に限らず、民間企業に就職する場合、勤務先の規模によって当然年収は大きく異なります。

地方の零細食品会社で、年収300〜400万円という場合もあれば、大手の外資系製薬企業で30歳代で年収1500万円なんてことも。

あまり知られていませんが、獣医師が製薬企業で働く場合、「動物用医薬品の開発」だけではなく、人間用の医薬品を手がける製薬企業の研究所でのニーズがおおきいです。

この場合は、動物実験(動物を使った有効性や安全性の確認)を担当する研究職としての採用が大半です。

動物を実験動物として扱う仕事となるので、「ペットが好き」「動物の命を助けたい」という人には辛いかもしれませんが、収入面では安定が保証されますし、科学的な探求心を満たすことはできるでしょう。

JRAで働く獣医師の年収


民間企業のなかでも特殊な位置づけとして「JRA(日本競馬協会)」で勤務する獣医師が一定数います(JRAは農林水産省管轄の特殊法人という位置づけで、準公務員的な扱いとなります)。

JRAではたらく獣医師は、競走馬の健康管理をする臨床獣医師としての役割と、競走馬の研究を行う研究職の役割を担っています。

臨床獣医師になりたいが、研究も捨てがたい・・・というひとにはうってつけかもしれません(相手は馬だけになりますが・・・)

そして、JRAの獣医師職の年収ですが、いわゆる準公務員的な扱いでして、年齢に応じて幅がありますが、おおよそ600万円〜1200万円程度を得ることができます。

このように高待遇で、かつ、臨床獣医師としても働けるためやりがいを感じる人も多いようですね。

特権的な特殊法人での勤務となりますので、福利厚生や待遇面で、かなりの人気の高い職種となり、就職活動では高倍率となる最難関となっています。


地方共済組合で働く獣医師、産業動物獣医師


地方には農業や畜産関連の共済組合があり、そこで勤務する獣医師もいます。

産業動物獣医師として、家畜用動物の健康管理や繁殖に携わります。

体力面できつい部分があったり、汚れたりする仕事ですので、ぶっちゃけあまり人気はありません。

地域によっては担い手が少ないです。

ただし、その分、獣医学部のない都道府県や、僻地にいけば、公務員以上の好待遇を得られることもありますし、人によってはやりがいを感じることができる仕事です。

年収は500万円~1000万円ほどといったところです。

獣医学部の学生向けに、卒業後に産業動物獣医師として勤務する代わりに、返還不要の奨学金を提供する自治体もありますので、金銭的な問題で獣医学部への進学をためらっている人は一度調べてみるのもいいかもしれません。

獣医師の年収は私立大学獣医学部の学費に見合わない・・・という現実


ここまで書いたように、獣医師の年収、給料は卒業後の進路・就職先によって大きく変わってきます。

多くの獣医師志望者が抱いている「動物病院の獣医師さん」だと年収面ではかなり厳しいことを覚悟しなければいけません。

一方で、別記事で書いていますが、獣医学部の学費は高額でして、私立大学の場合6年間の学費は1000万円~1500万円が必要といわれています。

好待遇とされているJRAや大手製薬企業に就職できれば、まぁまぁ、高額な学費にもギリギリ見合うかもしれませんが、総じていうと「獣医師の年収は私立大学獣医学部の学費に見合わない」というのが現実ではないでしょうか。


獣医学部卒、獣医師の年収:進路別に収入を整理した【まとめ】小動物臨床医で勤務医は一番じり貧


以上、獣医師の年収について進路・職種ごとにざっくりと整理、解説してきました。

全体的に、獣医師というのは、大学受験の難易度や私立大学の学費に照らし合わせた場合、それほど収入面で「美味しい」仕事ではありません。

大手の製薬企業やJRA、あるいは国家公務員などの好待遇な職種も一部あるものの、一番人気である、いわゆる「町の獣医師さん(=小動物臨床獣医師)」は年収・給料面では厳しいというのが現状です。

開業医として成功できれば話は別ですが、このご時世、動物病院が乱立しており、競争が激しくなっているため前途は多難でしょう。

もちろん、仕事というのは年収や報酬面だけで決まるものではありませんが、「将来、獣医学部に行こうかどうか迷っている」「獣医学部を卒業した後の進路を検討中」といった方々の参考にしていただければ幸いです。

それじゃあ今回はこれくらいにしておきます

では。


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