獣医学部で入りやすい、偏差値低い大学はどこ?→どこも難しい【悲報】

獣医学部入りやすい偏差値低い大学は

獣医学部などの獣医師養成課程のある学部、学科を志望する人からの質問でよくあるのが、

「日本で一番偏差値・難易度の低い獣医学部・獣医学科はどこですか?」

「国公立大学の獣医学部・獣医学科で入りやすい大学はありますか?」

「国公立大学の獣医学部・獣医学科は難しいけど私立大学であれば簡単に入れるところがありますか?」

といったものです。

獣医師養成課程のある獣医学部・獣医学科は非常に人気、難易度が高く、受験のハードルは医学部に匹敵するレベルです。

そのため、獣医師を志望するものの学力的に自信がない、合格可能性を少しでも高めたい、といった背景から、少しでも偏差値の低い大学に関する情報を求める人も多いのでしょう。

今回は、この「獣医学部で入りやすい、偏差値の低い大学はあるのか」について、整理していきたいと思います。

ただ、先に結論を書いておくと、ぶっちゃけ「獣医学部で入りやすい、偏差値の低い大学」というのは存在しません。

多少の難易度や倍率、人気の違いはあれど、国公立、私立ともに難易度や入りやすさに大きな差は無く、どれも横並びといった具合です。

まー、それでも、「わかっちゃいるが、少しでもいいので、偏差値・難易度の低い獣医学部を知りたい」「学力に自身が無いが、少しでも自分にとって合格の可能性のある獣医学部・獣医学科を知りたい」という人はいるかと思います。

本記事が、そういった人たちの参考になれば幸いです。





獣医学部で偏差値低い大学はどこ?→無い、どこもむずかい


冒頭でも書いたように、結論としては「獣医学部で偏差値の低い大学」というものはありません。

記事執筆時点において、日本国内には下記の11の国公立大学と6つの私立大学が、獣医師養成課程としての獣医学部あるいは獣医学科を設置しています。

出典みんなの大学情報 (https://www.minkou.jp/university/)

・北海道大学 獣医学部(偏差値 65.0)

・帯広畜産大学 畜産学部 共同獣医学課程(偏差値 60.0)

・岩手大学 農学部 共同獣医学科(偏差値 62.5)

・東京大学 農学部 獣医学課程(偏差値 67.5)

・東京農工大学 農学部 共同獣医学科(偏差値 62.5)

・岐阜大学 応用生物科学部 共同獣医学科(偏差値 62.5)

・鳥取大学 農学部 共同獣医学科(偏差値 62.5)

・山口大学 共同獣医学部 獣医学科(偏差値 62.5)

・宮崎大学 農学部 獣医学科(偏差値 62.5)

・鹿児島大学 共同獣医学部 獣医学科(偏差値 62.5)

・大阪府立大学 生命環境科学域 獣医学類(2022年より大阪公立大学獣医学部となる予定)(偏差値 62.5)

・酪農学園大学 獣医学群 獣医学類(偏差値 55.0)

・麻布大学 獣医学部 獣医学科(偏差値 57.5)

・北里大学 獣医学部 獣医学科(偏差値 57.5)

・日本獣医生命科学大学 獣医学部 獣医学科(偏差値 62.5)

・岡山理科大学 獣医学部 獣医学科(偏差値 52.5)

・日本大学 生物資源科学部 獣医学科(偏差値 57.5)


しかし、いずれの大学においても入試偏差値は高く、とびぬけて偏差値の低い獣医学部や、飛び抜けて偏差値の高い獣医学部は無いといった印象ですね。

あえて細かく見ると、北海道大学獣医学部と、東京大学農学部獣医学課程が頭一つ飛び抜けていて、岡山理科大学獣医学部獣医学科が若干偏差値が低いかと(ただし、岡山理科大学獣医学部獣医学科は新設の獣医学部であるため、年度ごとの偏差値変動があるかと思われる)。

残りの大学、学部はほぼ横並びとなっている状態です。

獣医学部で偏差値低い大学が無い理由


このように、獣医師養成課程としての獣医学部・獣医学科が横並びの偏差値で、難易度が高止まりしているのは下記の2つの要因によるものです。

・獣医学部の定員が、獣医師志望者の数に対して少なすぎる

・獣医師になるのに出身大学は全く関係ない(どの大学を卒業しても同じ「獣医師」)

このあたり簡単に解説しますね。

獣医学部の定員が、獣医師志望者の数に対して少なすぎる


現在の日本の大学の獣医学部の1学年あたりの定員(約1,000人)は、獣医師を志望して獣医学部の受験をする学生の数に対して非常に少ないです。

動物好きで、将来獣医師になりたいという小学生、中学生ってすごくたくさんいますよね。

つまり獣医学部は人気学部なわけです。

人気学部なら、獣医学部を設置する大学がたくさんあってもいいようなものですが、実はそう簡単ではありません。

別記事でも書いていますが、獣医師の養成課程としての獣医学部の設置には、厳しい規制がかかっていて、簡単に認可が下りるようなものでもないのです。

まー、これは社会としての獣医師の需要を考慮したり、獣医師教育の質を維持するため、そして獣医師の雇用を守るために必要な措置とされています。

獣医師になるのに出身大学は全く関係ない(どの大学を卒業しても同じ「獣医師」)


獣医学部・獣医学科の偏差値、難易度が横並びとなっているもう一つの理由として、「獣医師になれればどの大学を卒業しても同じ」という事情があります。

じつは獣医師になるためには、獣医学部や獣医学科を卒業するだけではだめなのです。

6年間の獣医師養成課程の大学教育を受けると、獣医師国家試験の受験資格がもらえます。

その後、この獣医師国家試験に合格すると、「獣医師」になれるわけでして。

この獣医師の資格には、出身大学がどこであるか?による違いはありません。

そして、獣医師の国家資格そのものが希少で価値のあるものですので、出身大学による就職フィルターも皆無です。

つまり、東京大学を卒業しようと、北海道大学を卒業しようと、岡山理科大学を卒業しようと、獣医師になりさえすれば関係ないのです。

その結果、学生は、受験難易度や入試倍率、学費や立地などで大学を選ぶことになりますよね。

無理して有名な大学や、受験難易度の高い大学にチャレンジするメリットもないので、どの大学も均等に受験生が集まり、大学間の難易度の差はおおよそフラットになって横並びになるのです。


獣医学部で「入りやすい」ところ


獣医学の偏差値・難易度はほぼ横並びですが少しでも「入りやすい」ところについて考えてみましょう。

獣医学部に限った話ではありませんが、大学というのは地方へ行けば行くほど、偏差値が低い、あるいは競争倍率が低くなる傾向はあります。

獣医学部の場合、どの大学も横並びにはなりますが、多少、地方の大学の方が都市部の大学よりも、競争倍率が低く、入りやすい傾向があります。

これは、便利の良いエリアで学生生活を送りたい、田舎で生活することに抵抗がある、という学生が一定数いるからです。

また、「地元(または地元の周辺)の大学に通う」という考え方の学生もいるため、人口が集中している東京などの都市部では、少ない選択肢に多数の受験生が集まり、倍率が高くなります。

「偏差値が低いけど倍率の高い獣医学部」に不合格となった学生が、「より偏差値が高い代わりに倍率が低い獣医学部」なら合格した、といったこともよくある話です。

こういった傾向を考慮すると、年度によってもばらつきはあるものの、国公立大学だと「帯広畜産大学 畜産学部 共同獣医学課程」、「鳥取大学 農学部 共同獣医学科」、「宮崎大学 農学部 獣医学科」あたりは比較的入りやすいといわれています。

私立であれば、「北里大学 獣医学部 獣医学科」だとキャンパスが青森であったりして、多少、人気が無い年があるようです。

獣医学部の難易度事情:歯学部や薬学部とは事情が違う


獣医師になりたい、(獣医師養成課程としての)獣医学部・獣医学科に進学したいと希望しているものの、なかなか学力が伴わない場合、どうしても、「少しでの入りやすい獣医学部は無いものか」、「今の学力で合格できる偏差値が低い獣医学部は無いものか」、と模索してしまいがちです。

しかし、すでに書いたように獣医師になるのはかなりの難関です。

どの大学も難易度・偏差値や入りやすさはほぼ横並びで難しい、というのが現実。

残念ながら、こういった事情は獣医学部(と医学部)に特有でして、同じように国家資格が取得できて世間的には難関とされている薬学部や歯学部とは事情が異なります。

ぶっちゃけ薬学部や歯学部は、学部を設置している大学数も、定員数も獣医学部よりもはるかに多く、難易度の高い大学もあれば、地方の私立大学の薬学部・歯学部のように偏差値30台、40台でも十分狙えるところがありますからね(いわゆるFランク薬学部、Fランク歯学部)。

獣医師になりたい、獣医学部・獣医学科になりたい、というのであればそのあたりの獣医学部の事情をうけいれる覚悟は確実に必要です。

おすすめ!
自宅にいながら東大、京大、医歯薬系、獣医学部といった難関大学合格を目指せます!

・自宅でしっかり志望校受験対策をしたい

・部活と大学受験の両立したい

・幼少期から先を見据えて基礎学力を付けておきたい

・難関大学を目指したいけど近所に良い塾や予備校がない

そんな方には、Z会の通信教育がおすすめ:資料請求と特典冊子がこちらのリンクなら無料です↓
 



「一番入りやすい、偏差値の低い獣医学部を狙う」戦略の危うさ


大学入試において、とくに大学にこだわりがなければ「学力に自信がないので一番入りやすい、偏差値の低い獣医学部を狙う」という戦略はアリです。

特に、卒業時に、国家試験の受験資格を得られるような学部であれば、無理に難関大学を狙って受験勉強する意味はそれほど大きくないからです。

しかし、獣医学部の場合、「学力に自信がないので一番入りやすい、偏差値の低い獣医学部を狙う」という戦略で受験競争を生き残るのは難しい、危うい戦略です。

理由は、二つほどありまして。

一つは、先述のように、日本の獣医学部はどれも難易度が高く、かつ横並びであることです。

過去のデータから相対的に多少偏差値の低い獣医学部をねらったところで、自分が受験する年度の偏差値が低いとは限りらないんですよね。

この大学の獣医学部なら絶対に簡単!といえるほど大学間に差がないのです。

二つ目の理由としては、ぶっちゃけ、「学力に自信がないので一番入りやすい、偏差値の低い獣医学部を狙う」という程度の学力では獣医学部には合格できないからです。

獣医学部は偏差値が高いだけではなく、受験の競争倍率が高く、かつ、浪人率も高いため、体感難易度は数値上の偏差値よりもかなり上だと思った方がいいでしょう。

大学によっては学生の8割ほどが浪人経験者だったりもしますから。

・受験偏差値に対して、十分な学力を持っているけれど、何年も浪人している。

・私立の医学部なら余裕で合格できる学力があるが、獣医学部は不合格だった

なんて学生がそこら中に転がっています。

まー、獣医学部・獣医学科の辛いところ、獣医師を目指すうえでの宿命といったところでしょうか。

それじゃあ今回はこれ位にしておきます

では。



あわせて読みたい